[Gear Log #04] REJECT Arcade Controller WIP ハイタニの原点 ― プロ時代とストリーマー転向(後編)

[Gear Log #04] REJECT Arcade Controller WIP ハイタニの原点 ― プロ時代とストリーマー転向(後編)

今回は、ハイタニのプロゲーマーとしての歩みやストリーマーへ転向した時の思いをお届け。ストリーマー転向後、コミュニティのために動き続ける思いに迫りました。

● 格ゲー五神・ハイタニの原点(後編)

格ゲーとの向き合い方

――プロになって格ゲーとの向き合い方は変わりましたか?

大きくは変わってはいないんですけど、「ゲームだけやっていればいい」という環境は本当に珍しい。以前まではゲームするためには、お金も時間もいるしっていうところで、ゲーム1本で生活をしていくことはなかったことなので、それが向き合い方の変化でした。

実は、最初は働きながらプロやってたんです。当時はプロの価値も今より高くなく、投資してもらえる時期でもなかったので、働きながら海外に行ってました。

でも「これじゃあ専業の人に勝てないな」と思って。ゲーム一本でやらせてくださいって会社に相談したんですよね。

――会社の方も理解があったんですね。会社もゲーム関係だったんですか?

ゲームの番組などを制作している会社で、理解はありました。 そこで働きながら海外を回ったりしてました。

2015年はそこで少しやって、2016年でスト5が始まって、一年目は未知の世界でしたね。それまで大阪でずっとやってて大阪のレベル感とかはわかってたんですけど、東京のプロの人たちが同じ環境で練習したりとか、一緒の大会を回った時に、自分がどれくらい通用するかって分かんない状態だったので。

そこは不安だったんですけど、2016年はかなりやり込めたんで。いい感じに成績が良くて、プロでも結構いけそうだなっていう感覚があったのは覚えてますね。

プロ時代の思い出

――プロ時代の一番の思い出はなんでしょうか?

良い思い出はやっぱり大会に優勝したことですね。

2017年に結婚したんですけど、その直後のプレミア大会っていう海外の大きな大会で優勝して、いいことが続いてたことがあって。あれは結構よかったなっていう思い出で、やっぱり覚えてますね。

――結婚されてから、気持ちとかを切り替えていった感じですか

格ゲーって「結婚バフ」っていうのがあって、「結婚した後のプレイヤーは勝つ」みたいな。それは自分から始まってるんですけど。
どういう気持ちの変化なのかちょっと分かんないんですけど、そういうこともあったりとかして。

海外を回るので、大変なこともあるんですけど、やっぱ楽しいんですよね。
同じ志で、好きなものが一緒の人たちじゃないですか。その人達と、海外に一緒に行って、同じホテルで、部屋で練習をずっとしたりとか話したりとか、ご飯食べたりとか、すごいできたんですよ、その数年。あれはやっぱ、本当に思い出ですよね、それがやっぱすごい楽しかったところです。

――逆に苦労された部分はありましたか?

難しいなって思ったのは、ずっと試合があるんで、モチベーション維持ですかね。

趣味でやってると自分のペースでできるじゃないですか。出たい大会に出るとか、今は大会出ないで練習に専念しようとか、色々自分の配分でやれるじゃないですか。でもプロってずっと大会に出続ける仕事だし、コンスタントに結果も求められる仕事なので。それがすごい大変でしたね。

ゲームのやり方とかも、変わりますよね。やっぱり遊びがどうしても少なくなっちゃうところがあって。最適化をいかに求めるかというところが、すごい大事になってくるのかなって思うと、ゲームのプレイの幅がちょっと狭まっちゃったりとか。

良くも悪くも「プロ」っていうものに、縛られちゃうんですよね。いいところもあって、強くなれるけど、その代わりモチベーションが保ちづらかったりとか、上達の幅がちょっと狭くなっちゃったりとか。そのバランス感覚はすごい難しいなって思いました。

競技プレイヤーからストリーマーに転身して

――競技プレイヤーからストリーマーや解説に転向された時の心境の変化や、転向してから格ゲーとの向き合い方が変わった部分はありますか?

心境の変化は理由がすごいシンプルで、年に10回くらい海外回る仕事だったんですよ。今は以前より少ないかもしれないけど、当時はそういうシーンだったんですよ。2019年に子供が生まれるってなって、家にいたいなって思ったんで、ちょっと別の方向で仕事をしてみようっていうのがきっかけなんですよ。

ただ、偶然なんですけど、結局翌年からコロナ禍が始まって、そういうシーンが終わったんですよ。だから結果的に見ると、やめなくても海外回る必要はなかったっていうのもあるんですけど、自分はもうその前から決めてたんで、コロナ禍始まる前にもうプロはやめて、色んなことやってみよう、ってなってましたね。

――現在ハイタニさんは、格ゲーを広めたり後進育成をしたりしていますが、そういった意識は転向したときからあったんですか?

最初ストリーマー始めた時はそういうのはなくて、色んなゲームやったりとかしたんですよ。でもスト5の時に、初心者向けの動画出すとか、絶対やったほうがいいけど難しくてできてないよね、ってことがあったんです。マネタイズとか色んな問題で、わざわざ動画撮ったりとか、人に教えたりとかする時間をどうしても割けないっていう状況になってたんです。

「絶対やったほうがいいけど、今格ゲーにそれはないよね」っていうものはずっとあったんですよ。2023年に、『ストリートファイター6』が出るってなった時に、周りがバリバリプロとしてやってる時に自分はもうプロじゃなかったんで。自分が、初心者向けの動画出したりとか、新規層に向けての活動をやろうって思ったのはそこです。

――そういった活動のきっかけは『スト6』だったんですね

そうですね、『スト5』の時はまだ人も少なかったし、そこまでちょっとできてなかった、っていうのはありますね。

What's next? ──「対戦格闘」という特異な文化とコミュニティ

次回は「対戦格闘という特異な文化とコミュニティ」をお届けします。長年プロとして、プレイヤーとして格ゲーの歴史を見てきたハイタニに格ゲーの魅力を語ってもらいます。

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